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オスマル獲得の噂について、あるいは外国籍選手枠の問題

Posted at — Feb 13, 2018

昨日、FCソウルがスペイン人DFオスマルの日本の「ビッグクラブ」へのレンタル移籍の意向について発表して以来、その「ビッグクラブ」とはセレッソ大阪なのではないかという噂が高まり、ついには昨日午後の韓国での報道(FootballistGoal)、そして今朝にはスポーツ新聞各紙によって報道されるに至りました(スポーツニッポンスポーツ報知デイリースポーツ)。

Goalの記事によると、今回の経緯はこんな感じのようです。オスマルは昨年夏、ACLでのパフォーマンスを見た「Jリーグの上位クラブ」からオファーを受けたものの、激しい順位争いをしていたFCソウルはそれを認めず、オスマル自身もチーム状況やファンのことを考え、移籍を選択しませんでした。昨季末には契約を延長し、複数年契約をFCソウルと結びました。しかし、天皇杯決勝後、すなわち契約延長後にセレッソから「ラブコール」を受け、やはりJリーグで挑戦したいという気持ちを固めた模様です。FCソウルとしては、この冬に他の中心選手を放出しており、オスマルの移籍まで認めることはできないという態度をとっていたものの、オスマルの意思も強く、1ヵ月ほど話し合った結果、1年間のレンタル移籍という結論が出たとされています。「オスマルは実をとり、ソウルは名をとった」とはGoalの評価です。「レンタルが終わると、オスマルは契約期間が残っているソウルに復帰しなければならない」とGoalは書いていますが、1年先のことなど誰にもわかりません。

私は昨日、上記Footballistの記事の翻訳を載せたポストをTwitterで共有した際、「こういう展開になるとは思わなかった」と書きましたが、本当に予想していませんでした。それは、結局のところ、いわゆる外国籍選手枠が埋まっているという厳然たる事実が存在しているからです。現在、チームにはキム・ジンヒョン、ソウザ、リカルド、マテイ・ヨニッチ、ヤン・ドンヒョン、そしてチャウワットという6人の外国人選手がいます。このうち、チャウワットは提携国出身なので、外国籍選手枠における外国籍選手とはカウントされません(「2018明治安田生命J1・J2・J3リーグ戦試合実施要項」14条)。同条によって登録可能な外国籍選手数は「1チーム5名以内」と定められていますので、さらなる選手を獲得する余地はないということになります。

このとき、リカルドを放出すれば問題が解決するのではないかという考えに至りますが、それもあまりよい解決策にはならないと考えました。なぜならば、同条は次のようにも定めているからです。

試合にエントリーすることができる外国籍選手は、1チーム3名以内とする。ただし、アジアサッカー連盟(AFC)加盟国の国籍を有する選手については、1名に限り追加でエントリーすることができる。

ここでの「試合にエントリー」とは先発とベンチを含めた18人を意味します。この18人のうち、最大でも4人(外国籍3人+AFC加盟国籍1人)しかメンバー入りさせることができないということです。セレッソにおいては、普通に考えて、ジンヒョン、ソウザ、ヨニッチ、ドンヒョンの4人でこれを埋めることが予想されます。前の3人はスタメンとしていずれも外すことができない、替えのきかない選手ですし、ドンヒョンに関しても今後そうなる可能性はありますし、またドンヒョンをベンチから外せば、とりわけ澤上を怪我の長期離脱で欠いている現状、ベンチに入れるフォワードの選手が若手以外いないことになります。それはそれでいいかもしれませんが、あまり現実的ではありません。そうすると、オスマルを獲得し、リカルドを放出することで選手登録したとしても、基本的にはベンチにも入れないことになります。まだ若手の選手ならばいざ知らず、FCソウルでキャプテンまで務めたという選手が基本ベンチ外、カップ戦のターンオーバーなどでたまに試合出場という地位を受け入れるでしょうか(しかもACLグループステージの選手登録はすでに終わっています)。このように考えたため、セレッソがオスマルを獲得するとは予想していませんでした。

しかし、ともあれ、報道によるとセレッソが獲得することになりそうです。しかし、たとえ獲得したとしても、上で書いたような問題が解決するわけではありません。つまり、オスマルを起用するには、上記の4人のいずれかを18人から外さなければならないわけです。そのように考えると、またオスマルはセンターバックとボランチを両方こなすことができるという情報を前提とすると、基本的にはオスマルはソウザとヨニッチのバックアップという位置づけ、起用法になるのではないかと予想することができます。ただし、もちろんオスマルがその2選手よりも劣っていると断定しているわけではありませんし、逆に優れた選手であればあるほど、チーム内の競争が激しくなることになりますので、それはとても望ましいことと思われます。いずれにしても、この移籍が成り立つということは、オスマル自身もこのような状況ないしは地位を認め、受け入れたということになり、それはそれで驚きですが、移籍が実現すれば非常に楽しみです。

ちなみにリカルドについては、どうなるのかまだよくわかりませんが、上記スポーツニッポン記事は「左手を骨折したFWリカルドが前半戦での復帰が微妙な状況で、登録枠から外すことを検討していた」としています。現時点で復帰までに時間がかかる怪我をしていることを考えると、他チームへの移籍は微妙ですので、契約を維持し保有しつつ登録はしないという状況を続ける、という選択肢になりそうです(双方の合意に基づく契約破棄というのも一応は選択肢にありますが、現実的ではないかもしれません。また、完治が見込まれる夏であれば他チームに移ることも選択肢に入ります)。このスポニチ記事の記述は、こうした方向で動きそうだということを示唆しています。